障害福祉や就職活動のお役立ち情報

就労移行は障害者手帳なしでも利用可能?利用条件を解説♪

2023.10.17

就労移行は障害者手帳なしでも利用可能?利用条件を解説♪

障害や難病を抱えている方のなかには「働きたいけれど自信が持てない」「今の自分に社会活動ができるか不安」という方も少なくありません。そうした方の手助けをする施設として、就労移行支援事業所があります。就労移行支援事業所のサポートを受けることで、障害のある方や体調に不安のある方でも、スムーズに就職を実現できます。

本記事では、就労移行支援の概要や、就労移行支援事業所の利用方法などについて、くわしく解説します。

目次

結論:就労移行支援は障害者手帳なしでも利用が可能

障害福祉サービス受給者証とは

就労移行支援の「受給者証」発行に必要なもの

障害者手帳

自立支援医療受給者証(精神通院医療対象者)

医師の診断書

就労移行支援を受ける利用条件

年齢要件

障害要件

就労可能性要件

就労移行支援で受けられる内容

個別支援計画書の作成

自身に関する特性の相談

トレーニング・職場見学・職場実習

就活支援と就労定着支援

就労移行支援で取得可能なスキルの例

コミュニケーション

医療・福祉

IT

就労移行支援の利用期間

期間延長について

就労移行支援の利用料金

利用料金の年収目安

就労移行支援の利用の流れ

就労移行支援は「一般社団法人ソース」へ相談

結論:就労移行支援事業所は障害者手帳なしでも利用が可能

就労移行支援事業所を利用するには、障害者手帳の所持が必須だと思っている人も少なくないでしょう。しかし、就労移行支援事業所は障害者手帳を所持していなくても利用が可能です。

障害者手帳を所持してなくても「自立支援医療受給者証」「精神疾患や障害名が記載された医師の診断書」があれば、障害福祉サービス受給者証の発行対象となるため、就労移行支援事業所の利用ができます。

つまり、障害者手帳の有無は、就労移行支援事業所を利用するための必須条件ではないので、手帳を持っていないからといって、就労移行支援の利用を諦める必要はありません。

障害福祉サービス受給者証とは

障害者手帳と障害福祉サービス受給者証は、混同されてしまうことも多いのですが、まったくの別物です。障害者手帳は、障害の名前や状況・状態などを証明するために都道府県から発行される証明書です。障害者手帳には下記の3種類が存在します。

 

身体障害者手帳

・精神保健福祉手帳

・療育手帳

 

障害者手帳を持っていても、それだけでは就労移行支援事業所を利用することができません。就労移行支援事業所をはじめとした障がい福祉サービスを利用するには、別途、市町村から発行される障害福祉サービス受給者証の取得が必要です。

審査の基準が異なるので、障害者手帳を持っていない場合でも、医師の診断書や自立支援医療受給者証があれば、受給者証の発行が認められることがあります。

発達障害や適応障害と診断された場合、グレーゾーンといわれるような、障害者手帳の取得条件を満たすのが難しいケースがあります。そういった場合でもサポートが受けれられる可能性があるので、障害者手帳を持っていない方にとって非常に有益な制度といえます。では、どうすれば障害福祉サービス受給者証を取得できるのでしょうか?

就労移行支援の「受給者証」発行に必要なもの

上記の障害福祉サービス受給者証の発行に必要なものは、下記のいずれかです。

 

障害者手帳各種

・自立支援医療受給者証

・医師の診断書

 

障害者手帳

障害を持つ方や病気を抱える方が一般企業への就職を目指す際、就労移行支援制度を利用することでスムーズな就職が期待できます。この制度は、障害や病気を抱える方の一般企業や会社への就職をサポートすることを目的としています。

利用するためには、障害福祉サービス受給者証の取得が必要です。受給者証は、サービスの細かい内容や支給量などが明記してあり、障害者手帳を持つことがその取得の条件の一つとなります。

障害者手帳がなくても障害福祉サービス受給者証を取得する方法があるため、障害者手帳の取得が困難な方でも、就労移行支援制度の利用を断念する必要はありません。

自立支援医療受給者証(精神通院医療対象者)

障害者手帳を所持していない人でも、自立支援医療受給者証があれば、障害福祉サービス受給者証の利用条件を満たせます。自立支援医療受給者証とは、精神障害を持つ方が通院する際の医療費の一部を補助するための証明書であり、診察料や薬の料金が安くなるため、これだけでもとても便利な制度です。

医師の診断書

障害や病気の状態を証明するための医師の診断書でも障害福祉サービス受給者証の申請が可能です。診断書には、障害の有無や種類、主治医や通院している医療機関名などが明記されている必要があります。また、申請時には、氏名、住所、マイナンバー、電話番号などの基本情報や、申請者の属する世帯全員の氏名、障害の有無や種類などの詳細情報が必要です。

就労移行支援を受けるための利用条件

就労移行支援とは、障害者総合支援法に基づき、一般企業への就労を希望する障害者を対象とした支援サービスです。就労移行支援事業所では、就労に必要な知識や能力の習得、就職活動のサポートなどを受けられます。

就労移行支援を受けるためには、以下の3つの要件を満たす必要があります。

年齢要件:18歳以上65歳未満であること

・障害要件:身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、難病のいずれかがあること

・就労可能性要件:一般企業で就労が可能と見込まれること

年齢要件

就労移行支援の対象年齢は、18歳以上65歳未満です。

障害要件

就労移行支援の対象障害は、身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、難病などです。障害の種類や程度は問われません。

就労可能性要件

就労移行支援の対象者は、一般企業や一般的な職場での就労が可能と見込まれる必要があります。就労の可能性を判断する際には、障害の程度や特性、本人の希望、職業能力評価の結果などを総合的に判断します。

休職中の方の場合には、就労可能性要件を満たすために、①企業や医療機関での復職支援が困難である②本人が復職を希望しかつ企業も復職が適切だと判断している③市区町村が就労移行支援によるサポートが有効であると判断している、という3つの要件を満たす必要があります。

就労移行支援で受けられる内容

就労移行支援事業所では、就労するために必要な知識や能力の習得、就職活動のサポートなどを受けられます。具体的には、以下のような支援を行っています。

個別支援計画書の作成

それぞれの利用者の特性や状況を把握したうえで、就労に向けた目標や支援内容を明確にするために、個別支援計画書を作成します。個別支援計画書には、以下の内容が記載されています。

・利用者の希望や目標

・就労に向けて必要な支援内容

個別支援計画書は、利用者さんと支援者が協力して作成します。作成にあたっては、本人の希望や目標を尊重し、利用者が主体的に就労に向けて取り組めるようにすることが重要です。たとえば、うつ病の診断を受けていて、人と接するのが苦手な性格の利用者さんの場合、一例として、以下のような個別支援計画が立案されます。

障害の程度や特性:うつ病、対人関係の苦手さ

・希望や目標:一般企業に就職し、社会の一員として働きたい

・就労に向けて必要な支援:コミュニケーション能力の向上、通勤訓練

就労移行支援事業所では、作成された個別支援計画書をもとに、各種就労トレーニングを実施します。

個別支援計画書がきちんと作成されていないと、本人の希望にそぐわないトレーニングや無意味なトレーニングが行われる可能性があります。個別支援計画書には、本人の希望や目標を尊重し、スムーズな就労をサポートするという、重要な役割があります。

自身に関する特性の相談

利用者さんは、就労に向けた不安や悩みなどを支援者に相談することができます。支援者は、利用者の特性や状況を理解し、適切なアドバイスやサポートを行います。

たとえば、一般企業で働けるのか、就職活動の際にどのように自分の障害を伝えたらよいのかなどの不安を抱えている場合、相談のうえで日頃からの自分の考え方の傾向を探り、不安を和らげる方法を模索したり、採用面接時にどのように障害特性を伝えるべきなのかを一緒に検討します。

トレーニング・職場見学・職場実習

利用者さんは、就労に必要な知識やスキルを習得するために、事業所内でのトレーニングや職場見学、職場実習を受けられます。パソコンの操作やビジネスマナーなど、一般企業での就業に必要なスキルを身につけることができます。

職場見学では、実際に企業の職場を訪れ、仕事の様子を見学することが可能です。また、企業で実際に働くことで、社会人としてのスキルや経験の蓄積が期待できる職場実習にも参加可能です。

就職活動の支援と就労定着支援

就職活動の実戦的なサポートを受けることもできます。履歴書の書き方や面接の練習などのほか、ご希望によってはスタッフが採用面接に同行することもあります。また、就職後のアフターサポートも行っており、半年のあいだ、職場への定着支援を実施し、職場で長く働くことができるようにケアします。また、休職されている方の職場復帰支援も実施しています。

就労移行支援で取得可能なスキルの例

就労移行支援事業所ソース堺東・ソース三国ヶ丘では、上記のような就職訓練の過程で、資格や検定の取得を推奨しております。資格を取得することにより、自分の能力を端的に示すことが出来るほか、成功体験を積むことで自信が身につきます。

ここでは、ソース堺東・ソース三国ヶ丘で取得できる資格の一部を紹介します。

コミュニケーション

・コミュニケーションリーダー

・ピアカウンセラー

・コミュニケーション基礎

・TECC(中国語コミュニケーション検定)

パソコン

・マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)Word

・マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)Excel

・P検-ICTプロフィシエンシー検定(P検)

医療・福祉

・環境アレルギーアドバイザー

・金属アレルギーマイスター

・医療事務講座(医療事務認定実務者)

・保育士

・社会福祉士

・精神保健福祉士

IT

・ITパスポート

・VBA基礎

・プログラミング基礎(Java、VB.NET)

・SQL基礎

・HTML5基礎

・JavaScript基礎

デザイン

・Photoshopクリエイター能力認定

・Illustratorクリエイター能力認定

 

これらの資格やスキルは、面接の際に自分の能力を伝える大きな強みとなります。ソース堺東・ソース三国ヶ丘では、多種多様な教材があり、皆さん楽しみながら資格取得も目指しています。

資格取得は、就職活動だけでなく、自分自身のスキルアップや自信を持つための手段としても非常に有効です。

就労移行支援の利用期間

障害や難病を抱える方の就職をサポートする制度である「就労移行支援制度」ですが、この制度の利用期間は原則2年間と定められています。2年間で就職に至らなかった場合や、体調などの理由で制度を十分に利用できなかった場合、期間の延長が認められることがあります。

期間延長について

2年間での就職が叶わない場合や、体調の不調などで就労移行支援事業所に通えなくなってしまった場合、最長1年間の利用期間延長が認められることがあります。ただし、この延長は就職の見込みがあると、各地方自治体や事業所が判断した人のみが対象となります。延長申請を行う際は、就労移行支援事業所のスタッフに相談し、サポートを受けることをおすすめします。

就労移行支援の利用料金

就労移行支援の利用料金は、前年度の世帯(本人と配偶者)の年収に依存します。本人、配偶者ともに前年度に収入がなければ無料の利用が可能です。

同居している親の年収は利用料金に影響しません。

以下のケースにあてはまる方は、ほとんどの場合において利用料金が無料になります。

・生活保護を受けている

・障害者本人と配偶者(妻、夫)の住民税が非課税

いっぽう、前年度に収入がある場合は、自己負担が発生する可能性があります。ただし、この金額には上限があり、月額の自己負担は一定額を超えないように制限されています。

以下の表は、障害者手帳を所持している方の負担額のおおまかな目安です。

詳しい算出方法につきましては、以下の厚生労働省のサイトをご確認ください。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/service/hutan1.html

利用料金の年収目安【申告あり】

区分 年収目安 負担上限月額
生活保護 0円 0円
低所得 概ね300万円以下(世帯の市町村民税が非課税) 0円
一般1 概ね670万円以下(世帯の市町村民税の所得割が16万円未満) 9,300円
一般2 概ね670万円以上 37,200円

就労移行支援の利用の流れ

ここでは、就労移行支援事業所を利用するさいの流れを簡単に説明します。

 

①どんな働き方をしたいか決める

事業所によって提供するサービスや学べるスキルが異なるため、まず自分の働き方や利用目的を明確にしましょう。

②通いたい就労移行支援事業所に相談し、見学する

希望する事業所に連絡し、利用についての相談を行います。複数の事業所を検討している場合、体験利用もおすすめです。

③住所を管轄する市区町村の窓口に行く

サービスを受けるためには、利用申請が必要です。住んでいる市区町村の障害福祉課などの窓口で相談し、必要な手続きを行います。

④認定調査を受ける

認定調査は、利用者が就労移行支援のサービスを受ける資格があるかを確認するためのものです。日程を決めて、調査を受けます。

⑤利用開始まで待つ

認定調査後、利用開始までの期間は人によって異なります。この期間中に不安や疑問がある場合は、事業所や市区町村の窓口に相談するとよいでしょう。

⑥利用開始

事業所からの連絡を受け、必要な手続きを終えたあと、利用を開始します。

 

詳細は関連機関や事業所に直接お問い合わせください。

就労移行支援事業所の利用をご検討のさいは「ソース堺東・三国ヶ丘」へご相談ください

本記事では、就労移行支援事業所は障害者手帳なしでも利用できることを解説しました。就労移行支援は、障害者手帳が交付されていない方でも、医師の診断書や自立支援医療受給者証などがあれば利用できる制度です。

そのため、病名がついてない方や複雑な事情を抱えている方でも、利用を諦める必要はありません。まずはお近くの就労移行支援事業所に相談に行くとよいでしょう。

私たちソース堺東・三国ヶ丘は、社団法人社会福祉支援研究機構に加盟する就労移行支援事業所です。経験豊富なスタッフが多く在籍しており、就活や生活のお悩みをいつでも相談いただける環境を整えております。

あなたの状況に合わせて最適なスケジュールを組み、就職活動をお手伝いさせていただきます。

大阪府堺市堺区にある障害者就労移行支援事業所「ソース堺東・三国ヶ丘」へぜひご相談ください。

【監修】佐古順子

サービス管理責任者

職場適応援助者(訪問型ジョブコーチ)

ビジネス実務マナー3級
メンタルヘルスマネジメント検定Ⅱ種