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【利用者さんの熱いコラムです!】人生送りバントと補欠の意地①

2019.7.15

【夏と言えば学生野球!白球を追うプレイヤーの姿に心を打たれます。学生時代に野球に打ち込んでいたソース三国ヶ丘の利用者「喋ったらコンビニ」さんの熱い連続コラムがスタートします。どんな境遇にあっても努力すれば誰かが見てくれていること、かならず評価してくれる人がいるという、非常に示唆に富んだお話です。どうぞお楽しみください!!】

人生送りバントと補欠の意地

【第1回】洗礼の日々!

 

どうも‼

ソース三国ヶ丘 利用者 「喋ったらコンビニ」です‼ 夏になれば、学生時代の部活に明け暮れた日々を、思い出します。今回は、私の中学時代の部活動で得たこと、気づいたことを、書いてみようと思います。

 

 私は小学生時代に野球部、ソフトボール部、サッカー部など、色々とスポーツをしていました。野球部ではキャプテン、エース、4番でした。しかし、試合では、1勝もしたこともなく、全敗で終わりました。このころは「友達と楽しく野球が出来たらいいかな」という気持ちでしか野球をしていませんでした。

 中学生になり、2歳年上の兄とその友達にすすめられ、野球部に入ることを決めました。これがきっかけで、波瀾万丈な中学生生活を送ることとなったのです。

野球部入ってまだ間もない時の、最初に迎えた金曜日のこと。翌日に練習試合が入っていて、準備のためにグランド整備など、ラインをひいたりとしていたのですが、部活に入ったばかりで、まだ要領がわかりませんでした。2年生が中心となり、準備をしてくれたのですが、その状況を見た3年生から、

 「1年が何で率先してやらんねん‼ わからんねんやったら誰かに聞けや‼ おいっ‼」

 と、叱責されました。こういうかんじで、私の中学野球が始まりました。

 入部してから約1ヶ月がすぎ、部員数も増えてきたところで、監督から発表がありました。ノックを実施して、1年生のレベルを見たい、とのこと。私は、ライト、セカンド、サード、ピッチャーと4つのポジションを順番に周って、ノックを受けました。衝撃でした。同期のみんなが私よりも格段にうまかったのです‼

チームメイトの多くが小学生のころに所属していたのは、大会で優勝していたり、優勝候補のチーム。精鋭揃いでした。ノックの翌日から、同期の精鋭は、1軍チームに合流し、早くも主力メンバーと一緒に本格的な練習を開始しました。

 私はというと、2軍の中でも究極のお荷物的存在でした。草むしりと石拾い、それが終われば無限外周。練習後はグランド整備と道具の手入れや片付けをして、1日が終わる、という流れで、ボールには一切触れません。それが2年の夏の新チームになるまで続きました。その間、「チームお荷物のまとめ役」に指名されたのですが、なにも嬉しくありませんでした。

 月日がすぎて、2年生の夏に上級生が引退し、私とその同期による新チームが始動しました。監督は皆を集め、新チームの主将を発表しました。

「新チームの主将は、喋ったらコンビニ‼ お前や‼」

 監督はそう言ったのです。私には、何が何やら、まったくわかりませんでした。

 「なぜ俺? チームの練習なんか参加したことないのに、何で?」

 頭がパニック状態でした。思い出しても、笑ってしまうぐらいです。なぜ監督が私を主将に指名したのか。その真意を私は、チームを引退してから知ることになりました。

野球部には、野球のうまさではチームの戦力になれない人たちがいます。3年生の最後の大会の2ヶ月前、戦力になれない部員は、1軍の裏方にまわり、主力メンバーの全面サポートに入ります。監督は、サポート役に回った私の上級生たちから、私の部活に対する取り組みをヒアリングしていたそうです。

 「喋ったらコンビニは、草むしり、石拾いの時でも、真剣にやっている。1年生に声をかけたり、面白いネタをしたり、モノマネをしたりして笑わせ、時にはサボっている部員に注意したりもしている」

「無限外周が始まる前に『よし‼ あの太陽に向かって走るぞぉー‼ 走って青春しよぜ‼』と、全員が笑顔になる言葉を毎日言って、途中で走れなくなった1年生に、絶対に声をかけている。いつもみんなを見て、誰よりも早く走っている。上級生である僕たちにも、気を使ってくれた。頼もしい後輩だと思えたし、刺激にもなった」

 サポート役の上級生たちは、こういったことを監督に伝えてくれていたのです。

私は、ただ自分の置かれている状態が、悔しくて悔しくてたまりませんでした。だから部活外での練習も必死にやりました。送球の練習と守備の練習とピッチング練習を入念に行い、バッティングセンターではバントの技術を磨きました。ストラックアウトで制球力も磨きました。監督は、ボールに触れなくても、腐らないで真面目に部活動に参加して、そのうえで自主練習もしていることを、評価してくれたようです。

私には兄がいて、私とは比べものにならないぐらい凄い選手でした‼ 中学時代の兄は、打率王、打点王、得点王、盗塁王、四死球王、そして極めつけに本塁打王の打者のタイトル6冠を獲得した、チームの中心選手であり、副主将を務めていました。

 監督は、私の兄から、私の自主練習の様子も聞いていたようです。そして、兄と比べて野球の実力で劣るものの、私を主将にすることで、チームにどんな化学反応が起きるか、チームが新たな成長を遂げられるのではないかと、ワクワクしていたそうです。

 上級生や兄のおかげで努力が報われたのです。皆さんには感謝してもしきれないと思っている次第です。

 どんな境遇にあっても、努力すれば誰かが見てくれていること、かならず評価してくれる人がいることを、私は知りました。

 つづく