上司から注意を受けたとき、どう受け止めればいいのか
「なんでできてないの?」
「それ、前にも言いましたよね」
上司からこうした言葉をかけられ、心がズンと重くなった経験はありませんか。
特に仕事を始めたばかりの頃や、新しい業務を任された直後は、注意や指摘を受ける場面が増えがちです。
発達障害のある方の中には、こうした言葉をきっかけに
「自分はダメな人間だ」
「仕事をやめてしまいたい」
と強く自分を責めてしまったり、逆に「言い方がきつすぎる」「理不尽だ」と、相手への不満が膨らんでしまったりする方も少なくありません。
本コラムでは、発達障害の特性を踏まえながら、「注意を受けたときにどう受け止めていけばよいのか」について整理していきます。
1.注意を「人格評価」と受け取ってしまいやすい特性
発達障害のある方は、注意や指摘を「業務上の修正」ではなく、「自分そのものへの否定」として受け取ってしまいやすい傾向があります。
たとえば
「期限を守ってほしい」
という指摘が、
「あなたは何事においても期限の守れない、だらしない性格の人だ」
と聞こえ、ショックを受けてしまうことがあります。
実際は、特定の業務の進め方についての指摘を受けているだけで、その部分を改善すれば済む話なのですが、発達障害の特性により、
・言葉を強く受け取ってしまう
・過去の失敗体験を一気に思い出してしまう
・白黒思考(できていない=全否定)になりやすい
といった考えに陥り、自分に対して強く否定的になるか、相手に対して過度に攻撃的になるかといった好ましくない方向に進みがちです。
こういった場合、自分が人からの指摘を過大に受け止めすぎていることに気づくことが重要です。
「今つらく感じているのは、自分の受け取り方のクセによるものかもしれない」
と考えてみましょう。
2.自分の「受け取り方の傾向」を知っておく
極端に自分を責めたり、相手を強く責めてしまう前に、一度立ち止まって考えてみましょう。
・注意を受けると頭が真っ白になる
・言葉のトーンより内容よりも「責められた感情」だけが残る
・後から何時間も、何日も引きずってしまう
こうした反応がある場合、それは「相手の言葉に対する反応が強く出やすい特性」の可能性があります。
事前に
「自分は注意を受けると、必要以上に重く受け止めやすい」
と理解しておくだけでも、ダメージは軽減されます。
さらに、
「上司からすごくきついことを言われたと自分は理解しているが、それは特性により過度に強い反応が出ているだけかもしれない」
と考えることもできれば、より冷静に指摘を受け止めることができるはずです。
3.注意された内容を「分解」して考える
注意を受けたときに、過剰にショックを受けないための方法を身に付けておくとよいでしょう。
非常に重要なのが、事実と感情を切り分けて考えることです。
例えば、
「上司から仕事が遅れていると指摘され、上司に嫌われていると感じて悲しい気持ちになった」
という場合、「仕事が遅れている」ことは事実であり、「上司に嫌われていると感じた」ことは、事実かどうかは分からない、自分の感情です。
この場合、あくまで仕事が遅れているという事実についての対応策を考えることが重要であり、その問題がクリアできれば、自分のネガティブな感情は意外にもすぐに消えてしまうことも多いのです。
4.「改善できる点」を一緒に探す視点を持つ
注意を受けたあとに
「自分は向いていない」
で終わらせてしまうと、苦しさが残ります。
しかし、上司は改善を期待して注意をしているので、そのままで終わらせるのではなく、相談すれば有効なアイデアを得られるかもしれません。
注意を受けたことを機会に、相談するという姿勢が大切です。
5.上司も「困っている側」である可能性
職場環境や業務量によっては、上司自身が余裕を失っている場合もあります。
言い方がきつくなってしまう背景には、
・業務過多
・人手不足
・伝えたつもりが伝わっていないもどかしさ
などがあるかもしれません。
もちろん、きつい言葉が正当化されるわけではありませんが、「相手も困っている可能性がある」と視点を広げることで、受け止め方が少し変わることがあります。
6.仕事を始めたばかりの頃は、注意されることが多くて当たり前
最後に、大切な視点をお伝えします。
仕事を始めたばかりの頃は、誰でも失敗します。
そして、それを乗り越えられる可能性があるからこそ、上司は注意を行うのです。
注意を受ける回数が多いのは、自分自身の能力一般や人格を否定されたことではありません。
発達障害のある方は、慣れるまでに時間がかかることがありますが、創造性やアイデアが豊富、という強みもあります。
つらくなったときは、
「今は成長途中」
「切り替えが一番大事」
と自分に声をかけてみてください。
注意を受けた経験は、あなたの価値を下げるものではありません。
自分に合った受け止め方と支え方を見つけながら、少しずつ前に進んでいきましょう。
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