「念願の就職が決まったけれど、新しい環境でやっていけるか不安……」 「以前、人間関係でつまづいてすぐに退職してしまった経験があり、就職が決まったけど同じことにならないか心配……」

障害者就労移行支援事業所ソース堺東・三国ヶ丘でトレーニングを行い、無事に就職が決まった利用者さんより、このような相談をよくいただきます。就職活動は内定をもらうことがゴールのように感じられがちですが、実は「就職してから」こそが本当のスタートなのです。

新しい職場、知らない人たち、覚えるべき業務。これらは誰にとっても大きなストレス要因ですが、障害特性によってはその負荷が何倍にも感じられ、働きはじめてすぐに「もう無理かもしれない」と自信を失ってしまう方も少なくありません。

しかし、そこで諦めてしまうのはまだ早いかもしれません。 特に「障害者雇用」という枠組みにおいては、つまづきやすいポイントへの対策や、企業側との調整によって、驚くほど働きやすくなるケースが多いからです。

本記事では、大阪府堺市で数多くの障害者就労・定着をサポートしてきた就労移行支援事業所の視点から、「仕事をはじめるときにつまづきやすいポイント」と、それを乗り越えるための具体的な対策について徹底解説します。


1. 就職しても「すぐに辞めたくなる」のはなぜ?定着率の現実

せっかく厳しい就職活動を乗り越えて採用されたのに、数ヶ月で離職してしまう。これは決して珍しいことではありません。

就職後1年時点での定着率は障害種別によって差はあるものの、特に精神障害のある方では約50%を下回るという結果も出ています。

こんな仕事とは思ってなかった…こんなつもりじゃなかった…

 

早期離職の最大の要因は、能力不足ではありません。多くの場合は、「自分の想定していた働き方」と「実際の職場環境」のズレにあります。


2. 障害を持っている人が仕事でつまづきやすいポイントと対策

ここからは、就労現場で特によく見られるつまづきポイントと、その考え方・対策について深掘りします。

ポイント①:人間関係・コミュニケーション

 

〜「しんどい」からといって、すぐに辞めるのはもったいない!〜

仕事をする上で、最も多くの人が悩み、つまづくのが「人間関係」や「コミュニケーション」です。

  • 「上司の指示の意図が汲み取れない」

  • 「報告・連絡・相談(報連相)のタイミングが掴めない」

  • 「休憩時間の雑談に入れず、孤立感を感じる」

発達障害(ADHD、ASDなど)の特性がある場合、暗黙の了解や空気を読むことが求められる場面で強いストレスを感じることがあります。しかし、ここで強調しておきたい大切な事実があります。

それは、「知り合ったばかりの人たちと仕事をするのだから、多かれ少なかれコミュニケーションの問題が起こるのは当たり前のこと」だということです。

相手は、あなたのことをまだよく知らない他人です。あなたも、相手のことをよく知りません。最初からストレスなく連携して仕事ができることなどほとんどないのです。 多くの人が、この初期段階の「居心地の悪さ」や「伝わりにくさ」に耐えられず、「やっぱり自分には無理だ」「人間関係がしんどい」と早急に退職を決断してしまいます。

でも、それは本当にもったいないことです。

なぜなら、障害者雇用は「会社と相談を重ねることで、コミュニケーションの問題を改善できる雇用形態」だからです。企業側も試行錯誤し、「この方にはどのような配慮が必要か」「どう伝えればスムーズに業務が進むか」を理解しようとしています。

  • 「『適当に』ではなく、具体的な数値で指示を出してほしい」

  • 「口頭だけでなく、メモやチャットで指示を残してほしい」

  • 「挨拶はするが、休憩時間は一人で静かに過ごしたい」

こうした要望を出し、自分と企業の認識のズレを調整していくことで、入社当初は「しんどい」と感じていた人間関係が劇的に改善するケースが多々あります。 コミュニケーションの悩みは「辞める理由」ではなく、「働きやすい環境を作るための相談のきっかけ」と捉えてみましょう。

ポイント②:体力不足・生活リズムの乱れ

 

働きはじめは、想像以上にエネルギーを消耗します。「毎朝決まった時間に起きる」「電車で通勤する」「8時間職場にいる」。これだけで精一杯なのが普通です。

  • 睡眠障害: 疲れと緊張で夜眠れず、朝起きられない。遅刻が増えて自己嫌悪に陥る。

  • 過集中と疲労: 業務に没頭しすぎて休憩を忘れ、帰宅後に動けなくなる。

  • 服薬管理の乱れ: 忙しさで通院や服薬が疎かになり、症状が再発する。

特に精神障害のある方は、季節の変わり目や気圧の変化、職場の環境変化に敏感です。自分でも気づかないうちに疲労が蓄積し、ある日突然「会社に行けない」状態になってしまうことがあります。

【対策:スモールステップと相談する勇気】 最初の3ヶ月は、「仕事の成果」よりも「休まず通うこと」を最優先目標にしましょう。 職場では8割の力で働き、残りの力は帰宅後の休息のために残しておくイメージです。体力の限界に近いような業務内容である場合には、努力よりも相談が肝心です。企業は長く働き続けてくれる人材を求めていますので、正直に体力について相談すれば何らかの対処法を講じてくれるはずです。調子が落ちる前に相談すれば、早めに休息をとるなどの対処が可能になります。


3. 法律も味方になる!「合理的配慮」を安心してお願いしよう

障害者雇用促進法の改正によって、企業は障害を持つ従業員に対し「合理的配慮」をおこなうことが義務になりました。
これは “障害がある人が働くうえで困らないように、必要な調整を企業にお願いできる” 正当な権利 です。

働くうえでの要望を伝えることは決して「わがまま」でも「甘え」でもありません。
あなたが自分の力をきちんと発揮して会社に貢献するために必要なサポートなのです。

たとえば、次のような工夫が合理的配慮に当たります。

〈環境の工夫〉

  • 環境音がつらい人のためにイヤーマフの使用を認めてもらう

  • 人があまり通らない席に変えてもらう など

〈仕事のやり方の工夫〉

  • マニュアルにふりがなをつけてもらう

  • 図やイラストを使って説明してもらう

  • 仕事量を急に増やさず、段階的に調整してもらう など

こうしたお願いを、一人で企業に伝えることに気後れを感じるかもしれません。
しかし、後ほど紹介する 支援機関を頼れば、あなたと一緒に調整を手伝ってくれる ので、安心して進めることができます。


4. 一人で抱え込まないで!堺市で利用できる「定着支援」とは

トラブルの渦中にいる時、自分一人で冷静に会社と交渉したり、対策を講じたりするのは非常に困難です。 そこで頼りになるのが、「就労定着支援」というサービスです。

就労移行支援事業所が提供する「定着支援」

 

障害を持っている人の就職をサポートする就労移行支援事業所では、多くの場合、就職が決まった後も最長3年間にわたり「就労定着支援」というサポートを提供しています。

  1. 定期的な面談: 月に1回程度、支援員と面談し、職場の悩みや体調について相談ができます。

  2. 企業とのパイプ役: 上司に直接言いにくい悩み(人間関係や配慮事項)を、支援員が間に入って企業側に伝えてくれます。

  3. 企業側の担当者へのヒアリング: 障害を持っている当事者だけでなく、企業側のお悩みを伺い、当事者の方へ情報を共有することができます。

第三者が入ることのメリット

コミュニケーションの問題は、当事者同士が話すと感情的なって解決策を見つけにくくなることもあります。支援員という第三者が間に入ることで、建設的な話し合いが可能になります。 「辞めたい」と思った時、支援員に相談したら「実は会社側もあなたの対応に困っていて、どう話しかければいいか悩んでいた」という事実が判明し、双方の誤解が解けて働き続けられた、という事例は枚挙にいとまがありません。

地域には親身になって相談に乗ってくれる就労移行支援事業所が多くあります。仕事を探すために利用するだけでなく、その後の職場定着のことも考えて事業所を利用するのがお勧めです。


5. まとめ:焦らず、自分に合った働き方を見つけよう

障害を持っている方が仕事をはじめるさい、「人間関係」「体調」につまづくケースが多々あります。 特に人間関係の悩みは、初期段階では誰もが感じるものです。そこですぐに「辞める」というカードを切るのではなく、「会社と相談して環境を調整する」というプロセスを試してみてください。

そのプロセスこそが、「働きやすい職場」を作るための近道です。

大切なのは、決して一人で抱え込まないこと。

堺市で就職を目指している方、あるいは今、働き方に悩んでいる方は、ぜひ地域の「就労移行支援事業所」に相談してみてください。あなたの特性を理解し、就職から定着まで伴走してくれるパートナーが必ず見つかります。

仕事でのつまづきは、失敗ではありません。 そこから対策を立て、より良い環境を作っていくための大切なステップです。焦らず、私たちと一緒に一歩ずつ進んでいきましょう。

【監修】

就労支援員 佐古順子

職場適応援助者(訪問型ジョブコーチ)、メンタルヘルスマネジメント検定Ⅱ種、P検3級、ビジネス実務マナー検定3級、秘書検定2級、簿記2級

2024年度 就職者 32名!!

大阪府堺市にある就労移行支援事業所 ソース堺東 とソース三国ヶ丘は

メンタルクリニックに通っている方や

障がいをお持ちの方の< 働きたい!> という気持ちを全力でサポートします。

随時見学・体験を受け付けておりますので

ぜひお気軽にお問合せください♪

お一人でも、ご家族や支援者の方のみでも大歓迎です。

ソース堺東

TEL 072-225-1010

ソース三国ケ丘

TEL 072-242-8083

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―「個別支援」一人ひとりに合わせたサポート―

障害のある方が地域で自分らしく暮らしたり、働いたりするためには、画一的なサポートやトレーニングでは不十分です。障害の内容や程度、障害特性、生活のリズム、得意・不得意、希望する将来像は人によってまったく異なるからです。

たとえば、「人前で話すのが苦手」「朝の準備に時間がかかる」「集中力が続きにくい」など、困りごとは人それぞれです。本人の特性を理解し、その人に合ったやり方・ペースで支援を行う、個別支援が大切なのです。
様々な福祉サービスにおいて、そうした一人ひとりの違いを踏まえて、その人に合わせた個別支援が行われています。


1.個別支援とは

障害は種類や程度、環境等によって、必要なサポートが大きく変わります。
そのため、一般的な福祉施設では下記のような流れで支援のためのプランを作ります。

・本人の特性や生活状況をヒアリング

・本人が望む生活・働き方の目標を共有

・目標達成に必要な手段を検討

・支援計画(個別支援計画)を作成

・計画を定期的に見直し、必要に応じて修正

画一的に全員に同じサポートを提供しても、本人にマッチせず、成果が出ないことが多々ありますので、上記のような柔軟なサポートが必要です。

以下に、こういった個別支援を行っている4つの福祉サービスをご紹介します。


2.自立訓練

生活スキルを整え、自分らしく暮らすための支援

自立訓練は、障害のある方が「地域で自分の力で暮らせるようになること」を目指す訓練系のサービスです。利用期間はおおむね2年間です。日常生活に必要なスキルを少しずつ身につけていきます。

たとえば、

  • 朝起きて支度を整える

  • 食事を自分で準備する

  • お金の使い方を覚える

  • 交通機関を使って移動する

  • 他人との関わり方を練習する

といった、生活の基礎となる部分をサポートします。

同じ「自立」といっても、ゴールは人によって異なります。
「家族と一緒に暮らしながら少しずつ家事をできるようになりたい人」もいれば、「一人暮らしを始めたい人」もいます。支援スタッフは、本人や家族と面談を行いながら、一人ひとりの目標を設定し、支援計画を立てます。


3.計画相談支援

生活の全体像を見渡し、最適な支援計画を立てるしくみ

様々は障害福祉サービスを利用するうえで中心的な役割を果たすのが計画相談支援です。

計画相談支援を担当するのは、「相談支援専門員」と呼ばれる専門職です。専門員は、本人や家族との面談を通じて、生活全体の課題や希望を丁寧に聞き取り、どんな支援をどう組み合わせるかを一緒に考えます。

たとえば――

  • 日中は就労移行支援を利用して働く練習をしたい

  • 生活リズムを整えるために、自立訓練も利用したい

  • 将来的には一人暮らしを目指したい

といった希望をもとに、複数のサービスを組み合わせながら、実現可能な計画を立てていきます。

さらに、定期的にモニタリングを行い、「支援内容が本人に合っているか」「新たな課題が出ていないか」を確認しながら、計画を見直していきます。


4.就労移行支援

一般企業での就職を目指すための訓練と個別サポート

就労移行支援は、障害のある方が一般企業で働くことを目指して利用する福祉サービスです(対象は原則18歳以上65歳未満)。
通所による訓練や実習、就職活動のサポートを通して、職業スキルと働く力を育てていきます。

具体的な支援内容は次のようなものです。

  • ビジネスマナー、パソコン操作などの職業訓練

  • 企業での職場実習

  • 履歴書作成、面接練習などの就職活動のサポート

  • 就職後の定着支援(職場訪問や面談)

就労移行支援事業所では、利用開始時に個別支援計画を作成します。これは「利用者の方がどんな仕事を目指すのか」「どんなトレーニングが必要か」「どのくらいのペースで訓練を進めるか」を整理したものです。

たとえば、同じ「事務職を目指す」人でも、

  • タイピングが苦手な人は、パソコンの練習を重点的に

  • コミュニケーションが不安な人は、コミュニケーションプログラムで練習を

  • 生活リズムに課題がある人は、日々の通所をしっかりサポート

といったように、支援の内容と進め方を調整します。
これが個別支援=一人ひとりに合わせた支援の具体的な形です。

また、就職後も企業との連携を取りながら、安定して働けるようフォローが続きます。単に「就職できた」で終わらせず、働き続けるための継続的なサポートを行う点も特徴です。

【就労移行支援事業所の利用イメージ】

9:55~10:00 朝礼

10:00~10:50 個別訓練

10:50~11:00 休憩

11:00~11:50 グループワーク

11:50~13:00 昼休憩

13:00~13:50 個別訓練

13:50~14:00 休憩

14:00~14:50 スタッフとの面談

14:50~15:00 終礼


5.就労継続支援A型・B型

働く形を選べる2つの支援サービス

すぐに一般企業で働くのは難しいという場合には、就労継続支援A型・B型という選択肢もあります。どちらも働く機会を提供し、仕事を通じてスキルや生活リズムを整えていくサービスです。

●A型:雇用契約のもとで働く

就労継続支援A型では、利用者と事業所の間で雇用契約を結び、最低賃金以上の給与が支払われます。
仕事内容は、軽作業・製造・事務補助・清掃などさまざま。職員が職場環境を整え、サポートを受けながら働くことが可能で、基本的な労働習慣を身につけることができます。

A型は、勤務時間を守れる程度に体調が整っており、将来的に一般就労を目指したい方に向いています。

●B型:雇用契約を結ばず、無理のないペースで働く

就労継続支援B型は雇用契約を結ばず、体調や生活リズムに合わせて自分のペースで働ける福祉サービスです。
体力的な負担が大きい、長時間勤務が難しい、という方でも安心して利用できます。

作業内容は、パンやお菓子の製造、手工芸品の制作、データ入力、清掃など多岐にわたります。工賃が生産活動の成果に応じて支払われます。

このように、A型・B型はどちらも「働くことを通じた支援」を行いますが、契約形態が異なります。

【就労継続支援A型・B型の事業所の利用イメージ】

9:55~10:00 朝礼

10:00~10:50 業務・作業

10:50~11:00 休憩

11:00~11:50 業務・作業

11:50~13:00 昼休憩

13:00~13:50 業務・作業

13:50~14:00 休憩

14:00~14:50 業務・作業

14:50~15:00 終礼


6.就労移行支援事業所における個別支援の実際

一人ひとりの可能性を引き出すサポート

就労移行支援事業所では、利用者さん一人ひとりに個別の支援計画を立て、定期的に見直します。
計画には、「短期目標」と「長期目標」が設定され、進捗に応じて内容を調整していくのが特徴です。

このように、画一的な訓練メニューではなく、「その人にとって意味のある練習」を組み立てるのが就労移行支援事業所におけるサポートの基本姿勢です。

【就労移行支援事業所での個別支援の例】

① 個々の特性に合わせた作業トレーニングの調整

同じ「PC作業」でも、
・タイピングが苦手な人には基礎練習から
・マルチタスクが苦手な人には作業を細分化
など、作業内容・量・難易度を利用者ごとに変える。

② 認知特性に基づくコミュニケーション支援

口頭の指示が苦手な人には視覚的な説明(図や箇条書き)を多めに、
指示を忘れてしまうことの多い人にはリマインダーを活用するなど、
理解しやすい伝え方を個別に工夫する。

③ 体調の波を踏まえた通所ペースの設定

体調管理に不安がある場合、週3日の通所、体調が安定しており学習や就職活動を集中的に進めたい場合は週5日の通所など、無理なく続けられるスケジュールを立てる。

④ 就職希望業種に合わせたスキルトレーニング

一般事務を希望する人にはExcel・Word中心、接客を希望する人にはロールプレイ中心など、就職の方向性に合わせて訓練内容を変える。

⑤ 本人の困りごとに応じた環境調整

集中しづらい人には静かな席を用意、刺激に敏感な人には間仕切りを設置、疲れやすい人には休憩タイミングを細かめに設定など、その人が過ごしやすい環境を整える。


まとめ

個別支援は、「その人の特性を理解し、最適な方法でサポートする」という、障害福祉の根幹にある考え方です。
自立訓練や計画相談支援、就労系サービスなど、どの制度にも共通して、一人ひとりに合わせた計画を立てるというプロセスがあります。

「福祉サービスを利用したいけど、決まりきった作業をさせられて、何の役にも立たないんじゃないか?」と不安に思っている方。

そんなことはありませんので、いちど相談にいらしてくださいね♪

【監修】

就労支援員 佐古順子

職場適応援助者(訪問型ジョブコーチ)、メンタルヘルスマネジメント検定Ⅱ種、P検3級、ビジネス実務マナー検定3級、秘書検定2級、簿記2級

2024年度 就職者 32名!!

大阪府堺市にある就労移行支援事業所 ソース堺東 とソース三国ヶ丘は

メンタルクリニックに通っている方や

障がいをお持ちの方の< 働きたい!> という気持ちを全力でサポートします。

随時見学・体験を受け付けておりますので

ぜひお気軽にお問合せください♪

お一人でも、ご家族や支援者の方のみでも大歓迎です。

ソース堺東

TEL 072-225-1010

ソース三国ケ丘

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職場の人間関係や業務の変化をきっかけに、心身の不調を感じる人が増えています。医師から「適応障害」と診断されたとき、多くの方が「もう働けないのでは」と不安になりますが、適切に休養すれば再び社会で活躍することが可能です。この記事では、適応障害の症状や職場での事例、公的な支援制度、そして就労移行支援事業所の活用方法について詳しく解説します。

適応障害とは?

「仕事がうまくいかない」「ミスを繰り返してしまう」「朝になると体が動かない」

そんな状態が続き、医療機関で「適応障害」と診断される方が増えています。

適応障害は、職場や家庭などの環境変化やストレス要因にうまく対応できず、心身の不調があらわれる状態を指します。


主な症状

症状は人によって異なりますが、以下のような傾向が見られます。

精神面の症状

  • 気分の落ち込みや不安

  • イライラしやすくなる

  • 集中力の低下

  • 意欲の減退

  • 感情のコントロールが難しくなる

身体面の症状

  • 不眠、寝つきが悪い

  • 頭痛、胃痛、動悸などの身体的不調

  • 食欲の低下、または過食

  • 倦怠感が続く

行動面の変化

  • 遅刻や欠勤が増える

  • 人との関わりを避ける

  • 業務への集中が続かずミスが増える

  • 感情的な反応が増える

これらは「怠けている」「気持ちの問題」と誤解されがちですが、実際には脳と心がストレスに耐え切れなくなった結果として起こる病気です。


「適応障害」と「うつ病」の違いは?診断基準と見分け方

適応障害は「うつ病」と混同されやすいですが、両者には違いがあります。
適応障害は、ストレス要因が明確であること要因から離れると症状が改善することが特徴です。

適応障害 うつ病
原因 明確なストレス要因がある(例:職場の人間関係) 明確な原因がない場合も多い
症状の持続 ストレス要因から離れると改善しやすい 要因に関係なく長期化する
気分の状態 状況によって変動する 一日中気分が落ち込みやすい
回復の見込み 環境調整と支援で比較的早く回復する 治療に時間がかかることが多い

「ストレスが原因で、環境を変えれば改善する」場合は適応障害、「原因がなくても気分が沈む」場合はうつ病の可能性が高いといえます。
ただし、自己判断は禁物です。違いを理解したうえで、専門医に相談することが大切です。


職場で見られる適応障害の原因

① 上司や同僚との関係によるストレス

職場の人間関係は、働くうえでの大きなストレス要因です。
上司の指導が厳しすぎる、同僚との意見の不一致、孤立感などが続くと、「出勤するのが怖い」「職場にいるだけで動悸がする」といった状態に陥ることがあります。

② 業務量や責任の変化によるプレッシャー

昇進や異動などで急に責任の重い仕事を任されると、「自分にできるだろうか」という不安が大きくなります。真面目で責任感の強い人ほど無理をしてしまい、結果的に心身が限界を迎えることもあります。

③ 働く環境の変化

転勤や在宅勤務への切り替えなど、働く環境の変化も大きなストレスになります。
慣れようと頑張りすぎて疲れが蓄積し、気づいたときには心が悲鳴を上げているケースも少なくありません。


適応障害と診断されたときにできること

医師から「適応障害」と診断された場合、まずは自分を責めないことが大切です。
適応障害は、弱さや甘えではなく、誰にでも起こり得る心の反応です。

① ストレスの原因から距離を置く

根本的なストレス要因が続く限り、症状は改善しにくいです。
医師と相談し、休職や部署異動、勤務時間の調整などを検討することが必要です。

② 医療機関での治療を受ける

精神科や心療内科で、カウンセリングや薬物療法を通じて治療を受けます。
専門家と一緒にストレスの対処法や思考の整理を行うことで、少しずつ落ち着きを取り戻すことができます。

③ 家族や支援機関に相談する

一人で抱え込まず、家族や信頼できる人、専門機関に相談しましょう。
「地域障害者職業センター」や「就労移行支援事業所」などの公的支援を利用することで、職場復帰や再就職へのサポートを受けることができます。


公的な支援制度

● 傷病手当金

会社員で健康保険に加入している場合、病気療養のために働けない期間中、給与の約3分の2が最長1年6か月支給されます。
医師の診断書が必要ですが、休職中の生活を支える重要な制度です。

● 精神障害者保健福祉手帳

症状が長期にわたる場合は、障害者手帳を取得できることがあります。
手帳を持つことで、就労支援サービスを利用したり、交通機関の割引などの支援が受けられます。


適応障害の休養期間はどれくらい?

適応障害の回復には個人差がありますが、一般的に数か月から半年程度の休養が必要とされます。
大切なのは「どれくらい休むか」よりも、「どう休むか」です。

ステップ1:十分な休養

最初の数週間は無理をせず、心身を休めることに集中します。

原因となった環境から距離を置くことも大切です。

ステップ2:体調の安定と生活リズムの回復

睡眠、食事、運動といった基本的な生活を整えましょう。

心療内科への通院や、軽い外出などを行い、家にこもりきりにならないようにしましょう。

ステップ3:再スタートの準備

活動量を発病前の状態に戻していきます。

もとの仕事に戻るか、新しい仕事を探すかを適宜判断します。

この時期に「就労移行支援事業所」を利用し、復職や転職への具体的なステップを踏むことで、再発を防ぎながら社会復帰を目指せます。


 就労移行支援事業所が社会復帰に果たす役割

就労移行支援事業所は単なる「職業訓練の場」ではありません。
医療と連携しながら社会的リハビリを行う場所でもあります。
適応障害の回復は、休息→回復→再適応という段階を経て進みますが、その「再適応」を支えるのが就労移行支援です。

● 1. 生活リズムの再構築

適応障害の回復期には、「昼夜逆転」「外出の減少」など生活リズムの乱れが起こりやすいです。
事業所では、毎日決まった時間に通う習慣づけを支援します。
少しずつ外出の機会を増やすことで、生活リズムが整い、体調や気分の安定につながります。

● 2. 安全な社会参加の場

職場復帰前に「安心して人と関われる環境」があることはとても大切です。
スタッフや他の利用者と関わることで、「人と関わる練習」を自然に行えます。

● 3. ストレスマネジメント支援

グループワークや個別面談を通して、自分の特性やストレス傾向、疲れのサインを見つけるサポートがあります。
感情を整理し、対処法を学ぶことで、次に同じような状況が起こっても、より冷静に対応できるようになります。

● 4. 就職準備と環境調整

職場実習や資格取得など、再就職に向けたトレーニングを受けられます。
また、スタッフが企業と連携して「配慮事項(ストレスがかかりやすい場面や対応方法)」を伝えるため、
就職後も無理なく働ける環境を整えられます。


回復から再スタートへ

適応障害は時間をかけて回復していく病気です。
焦らず、自分のペースで少しずつ――。
就労移行支援事業所では、週1回の通所から始めて、体調を見ながら段階的にステップアップできます。
就職後もスタッフが面談や職場訪問を行い、継続的にフォローします。

「もう一度働きたい」「社会に戻りたい」という気持ちを応援しながら、
その人らしい働き方を一緒に見つけていく――それが就労移行支援の大きな役割です。


まとめ

適応障害は誰にでも起こり得る心のSOSです。
医療で心を整え、支援機関で社会に慣れていく。
その積み重ねが回復への道を作ります。

そして、就労移行支援事業所は、治療後の社会復帰の第一歩を支える場所です。
無理をせず、自分のペースで再スタートを切る――その歩みの先には、きっと新しい自分の働き方が見えてくるはずです。

【監修】

就労支援員 佐古順子

職場適応援助者(訪問型ジョブコーチ)、メンタルヘルスマネジメント検定Ⅱ種、P検3級、ビジネス実務マナー検定3級、秘書検定2級、簿記2級

2024年度 就職者 32名!!

大阪府堺市にある就労移行支援事業所 ソース堺東 とソース三国ヶ丘は

メンタルクリニックに通っている方や

障がいをお持ちの方の< 働きたい!> という気持ちを全力でサポートします。

随時見学・体験を受け付けておりますので

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お一人でも、ご家族や支援者の方のみでも大歓迎です。

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