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就職後の“思っていたのと違う”を減らすために ――発達障害を持っている方が職場ミスマッチを防ぐ企業見学・実習のすすめ

2025.8.14

1. はじめに――就職後の“ミスマッチ”はなぜ起こるのか

「やっと就職できたのに、実際に働き始めたら思っていたのと全然違った」。
発達障害のある方が、就職後にこのような状況に陥ることは、決して珍しくありません。

求人票や面接で聞いた仕事内容は確かに間違ってはいないはずです。しかし、実際に職場に足を踏み入れてみると、想像していなかった業務があったり、予想以上に会話や電話対応が多かったり、会社の雰囲気が合わなかったり……。そうした状況に直面し、戸惑いやストレスを抱える方は少なくありません。

こうしたミスマッチは、本人のやる気や能力不足が原因ではなく、事前に職場環境をチェックしたり、業務内容を十分に体験できなかったことが大きな理由です。特に発達障害のある方は、感覚や特性の影響で「自分に合う・合わない」が一般的な基準とは異なることが多く、紙の情報や短時間の面接だけでは判断が難しいのです。

だからこそ、就職前に実際の職場を見て、感じて、試してみること――これがミスマッチを減らすための大きな鍵となります。

2. 発達障害と職場のミスマッチの背景

発達障害と一口にいっても、その特性は人によってさまざまです。ここでは代表的な3つのタイプと、職場で起こりやすいすれ違いの例を見てみましょう。

ASD(自閉スペクトラム症)

  • 得意:ルールや手順が明確な作業、集中してコツコツ進める業務

  • 苦手:急な予定変更、曖昧な指示、暗黙の了解が多い仕事

  • ミスマッチ例:静かな作業を想像していたのに、実際は臨機応変な対応や他部署とのやり取りが多かった。

ADHD(注意欠如・多動症)

  • 得意:発想力や瞬発力、変化のある業務

  • 苦手:細かい事務作業の長時間継続、複数タスクの整理

  • ミスマッチ例:変化があり飽きにくい仕事を想像していたが、実際は長時間の単純作業が中心で集中力が続かなかった。

LD(学習障害)

  • 得意:実技や作業、特定分野の深い知識

  • 苦手:読み書きや計算など特定の認知領域

  • ミスマッチ例:現場作業を期待していたが、想定外に書類作成やPCを用いての数値入力が多かった。

これらのすれ違いは、就業前の見学不足や体験不足から生まれます。企業も特性への理解が十分でない場合があり、面接では表面的なやり取りしかできず、就職後に「こんなはずじゃなかった」と感じるのです。

3. ミスマッチがもたらす影響

就職後のミスマッチは、本人だけでなく企業や社会にも影響を及ぼします。

本人への影響

  • 強いストレスから体調を崩す(うつ症状、不安障害など)

  • 早期退職による自信喪失

  • 「自分は働けない」という思い込みの固定化

企業への影響

  • 採用や研修にかけたコストの損失

  • 業務の停滞や他社員への負担増

  • 障害者雇用に対する社内意欲の低下

就職する当事者と、企業双方に悪影響を及ぼしてしまうからこそ、事前にミスマッチを減らす工夫が必要なのです。

4. ミスマッチを減らすための「職場体感」の重要性

求人票や会社説明だけでは、実際の職場の雰囲気や業務のペース、感覚的な居心地までは分かりません。

見学・体験で分かること

  • 職場の静かさ・にぎやかさ

  • 業務のスピード感

  • 社内のチームワーク(社員同士で相談しながら仕事を進めるのか、各自が自分の裁量で仕事を進めるか、など)

  • 照明や空調、音、匂いなど感覚面の居心地の良さ

発達障害のある方にとっては、これらの要素が仕事のパフォーマンスやストレスに直結します。
実際に体感することで、「自分が働きやすい条件」が具体的に見えてくるのです。

5. 就労移行支援事業所でできる企業見学・実習

就労移行支援事業所では、この企業見学や実習を、スタッフのサポートを受けながら行うことができます。

企業見学

  • 職場を訪問し、業務風景や雰囲気を観察

  • 社員や人事担当者から直接話を聞ける

  • 写真や動画では分からないリアルな空気感を知る

職場実習

  • 数日~数週間、実際に業務を体験

  • 業務内容、指示の出し方、人間関係、働くペースを確認

  • 「自分に合う/合わない」を実感できる

ひとりで就職活動を行っていると、志望する企業に対して見学や実習の希望を出しづらい場合があります。就労移行支援事業所に所属していると、見学や実習や実習の段取りをスタッフが進めていきます。当事者の負担を減らしつつ、ミスマッチを格段に減らすことができます。

6. まとめ――“働き続けられる職場”を見つけるために

発達障害のある方にとって、就職後のミスマッチは珍しいことではありません。
しかし、就労移行支援事業所を通じて企業見学や職場実習を行えば、そのリスクを大幅に減らせます。

就職はゴールではなく、スタートです。「働き続けること」を目指すために、事前の職場見学・実習の機会をぜひ設けてください。

【監修】

就労支援員 佐古順子

職場適応援助者(訪問型ジョブコーチ)、メンタルヘルスマネジメント検定Ⅱ種、P検3級、ビジネス実務マナー検定3級、秘書検定2級、簿記2級

 

2024年度 就職者 32名!!

大阪府堺市にある就労移行支援事業所 ソース堺東 とソース三国ヶ丘は

メンタルクリニックに通っている方や

障がいをお持ちの方の< 働きたい!> という気持ちを全力でサポートします。

随時見学・体験を受け付けておりますので

ぜひお気軽にお問合せください♪

お一人でも、ご家族や支援者の方のみでも大歓迎です。

ソース堺東

TEL 072-225-1010

ソース三国ケ丘

TEL 072-242-8083

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